おやつ

小学生のころ、町内の会合で出されたおやつがあまり美味しそうなものではなかったため、参加者の誰もがそれに手をつけなかったことがある。おやつ達も対外的には平静を装いつつも、さすがに1時間も誰も手をつけないという事態に内部では「おい、様子が変だぞ」「慌てるな。動揺が表面化すると事態が悪化する」「少し音を立ててみるとか」「食ってくれ!誰か、食ってくれ!」と緊急会議が催されてはじめ、いたたまれなくなった僕はそわそわしながらおやつを食べ「おいしい」と一言つぶやいた。帰り際、母親に「アンタは誰も食べてないのに、なんで一人でお菓子食べるのよ」というストーリーで怒られた。